日本地理:第五章 日本の交通

2021-05-12 12:50

第一節 陸上交通

日本では、鉄道や道路には海岸に沿って走る線と日本列島を横切って走る線とがある。工業の発展に伴って、日本の交通輸送量は年々増加しており、その中で陸上交通は重要な役割を果たしている。
日本の鉄道は英国人技師の指導により、1872(明治5)年に東京の新橋と横浜の間に開通したのが最初である。現在、鉄道の全長は2万300kmである。鉄道には国鉄(日本国有鉄道)と私鉄(民営鉄道)があったが、今、国鉄はない。百年の間に組織が大きくなりすぎて経営状態が悪化し、1987年に民営化されてJR(Japan Railway company)になって、六つの旅客と貨物の会社に分割された。
1964年に開通した東海道新幹線は、時速220kmのスピードで、東京・大阪間を3時間で走っている。その後、東海道新幹線は、九州の博多まで行く山陽新幹線に接続した。また、東北新幹線が東京・盛岡間に、上越新幹線が東京・新潟間に開通している。なお、秋田新幹線は1997年3月開業し、北陸新幹線は同年10月開業し、東京・長野間を1時間19分で結んでいる。この35年間に新幹線が走った距離は、延べ地球を約2万周以上した計算になり、利用客も43億人(1995年)を超えており、乗客の死傷事故は一度もなく、世界で最も安全な鉄道と言われている。大雨や強風の時にはゆっくり走るか運転を止め、震度4以上の地震では、列車が止まるようになっている。これは列車にATSという列車自動制御装置がついているためである。また、列車が定められた速度を超えると、正しい速度に戻る装置や信号機・線路などにある色々な設備も一個所で管理するCTCという装置があり、それらによって安全に運転されている。
1988年、本州と北海道の間に青函トンネル(全長53.85kmで世界一長い)、本州と四国の間に瀬戸大橋が相次いで開通し、本州と九州の間の関門トンネルを加えて、日本の主要な四島が鉄道で直接結ばれた。そのほか、東京・大阪・福岡・神戸・京都・名古屋・横浜・仙台・札幌などの大都市では、都市と郊外を結ぶ通勤用鉄道や地下鉄網も整備されている。
日本の主要道路である国道及び都道府県道の全長は、約18万kmで、そのうち96%が舗装されている。高速道路は1958年に名神高速道路の建設が始まってから、だんだん東名、中央などができ、1987年には、北は青森から南は熊本まで、約3,000kmが高速道路で結ばれ、現在は青森と鹿児島間のほとんどが結ばれている。しかし、一般道路の整備は自動車の普及に比べると遅れている。現在、全国の自動車の登録台数は7500万台(2000年)で、世界で二番目に多くの自動車を持つ国になっている。
1997年に、世界最長の海底自動車トンネルと海上橋で神奈川県と千葉・房総半島を結ぶ東京湾横断道路は、全長15.1kmが構想から約35年にして完成した。
交通の発達により、人口稠密な日本では人や物の運搬が、世界でもことさら頻繁に行われている。高度経済成長期以降は、高速化を目指して、新幹線網や高速道路網の拡充が行われてきた。鉄道は新幹線を中心として旅客の長距離大量輸送や、地下鉄など大都市圏の交通手段として、依然としてその重要性を発揮している。都市の新しい交通システムとして、自動運転の軌道交通機関(AGT)の開発も進められている。旅客・貨物とも、自動車による輸送が半分以上を占め、交通や物流の中心となっている。輸送貨物が軽薄短小化したり、需要が個別化・多様化しているため、宅急便などのように自動車による輸送はますます需要が高まると考えられる。また、ほかの交通機関が未整備な農村などでは、自家用車が交通手段として広く普及している。しかし、こうした自動車輸送の役割の大きさに比べ、道路整備が遅れており、大都市圏や幹線道路での渋滞が一層激化している。

第二節海上と空の交通

日本の海上交通には、瀬戸内海航路や沿岸航路があり、これらは古くから発達していた。
日本では、輸入・輸出を支えるのが海運業である。日本の船舶保有量は2,210万トンで、世界の4.6%を占めているが、ここ10年以上、下落傾向が続いている。主な港は神戸・千葉・名古屋・大阪・北九州・横浜・苫小牧などである。
日本の航空機による旅客と貨物の輸送量は多く、とても便利で、日本航空と全日空は主な航空会社である。国内線は、東京を中心にして、札幌、大阪、福岡などを結ぶ航空路が幹線となっており、大阪、福岡からさらに四国、中国の各県を結ぶ国内線がのびている。国際線は、日本は東アジアにおける国際航空路の一つの中心となっており、日本から、アメリカ、中国、東南アジア、ロシア、ヨーロッパなどに通じる航空路が開かれており、世界の多くの国々の航空機が日本の国際空港に出入りし、成田東京国際空港と関西国際空港などが日本の空の玄関になっている。
しかし、成田空港は24時間稼働できないことや、国内線との乗り継ぎが非常に不便なことから、国際ハブ空港として十分に機能していない。関西国際空港や新千歳空港などの機能分担の必要性が指摘されるとともに、三大都市圏でのハブ空港の拡充整備が重要課題とされている。また、2005年、中部国際空港(愛知県上常滑)ができているため、運輸が緩和されている。
実は、国内では旅客輸送手段で輸送量が最も多いのは自動車で、次は鉄道である。航空機・船舶の比率は少ない。1994年度には、自動車66.0%、鉄道29.1%、航空機4.5%、旅客船0.4%となっている。貨物輸送量では、自動車が最も多く、次は船舶である。鉄道輸送の比率はかなり少ない。1994年度には、自動車51.5%、船舶43.8%、鉄道4.5%、航空機0.2%となっている。